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改正労働契約法について (2015年11月23日) - ナレッジ

超重要!!改正労働契約法について

雇用する側、働く側、両サイドのみなさんにとって重要な「改正労働契約法」の内容

「改正労働契約法(労働契約法の一部を改正する法律)」が2012年8月10日に公布され、有期労働契約で働く労働者の保護が強化されました。具体的には、有期労働契約(パート、アルバイト、契約社員、派遣社員、嘱託)について次の3つのルールが規定されました。
≪参考資料≫労働契約法改正のあらまし(厚生労働省)

現在Explatにお寄せいただいている、舞台芸術のマネジメント専門職の雇止めのケース


3件 (2017年11月現在)

1、無期労働契約への転換(労働契約法18条)

これは、2013年4月1日以降が始期である有期契約が対象になり、有期労働契約を繰り返し更新し通算5年を超えた場合には、労働者が希望すれば無期労働契約に転換されるという制度です。
1年の有期雇用契約を繰り返し更新してきた労働者は、2018年4月1日以降に契約を更新した際に、この権利が発生します。2年の有期雇用契約の場合は2017年4月1日以降に更新した際、また3年の有期雇用契約の場合は2016年4月1日以降に更新した際に無期転換の申し込みができることになります。

2、「雇止め法理」の法定化(労働契約法19条)

有期労働契約というのは本来、契約が満了したところで終了します。しかし、有期労働契約を何度も更新され、労働者が次も更新されるだろうと合理的な期待を抱く理由があると判断できる場合には、契約を打ち切ることは解雇と同じように扱われます。これは1974年以降、最高裁判所が作り上げていたルールで「雇止め法理」と呼ばれています。

3、不合理な労働条件の禁止(労働契約法20条)


職務内容や責任の範囲が同等である場合には、有期労働契約と無期労働契約の労働者の間で不合理な差を設けてはならないというルールです。 賃金や労働時間等の狭義の労働条件だけでなく、労働契約の内容となる災害補償、服務規程、教育訓練、付随義務、福利厚生など、労働者に対する一切の待遇が含まれます。 しかし、この規定は有期労働契約者の労働条件に差をつけないようにというメッセージを持っていますが、強制力があるものではありません。

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現在、多くの劇場・音楽堂でも有期労働契約の労働者が増えています。文化庁(受託:公益社団法人 全国公立文化施設協会)が国、地方公共団体が設置する劇場・音楽堂を対象に行った調査(平成26年度 劇場、音楽堂等の活動状況に関する調査研究報告書 )では、劇場・音楽堂のプログラムを企画・運営する「事業担当職員」のうち無期労働契約(正規雇用)が 51.2%、有期労働契約(非正規)が 48.8%であり、比率はほぼ半々ということが明らかになっています。そもそも指定管理の場合には、地方公共団体から委託された指定管理期間が3~5年程度と短期間の場合が多く、無期労働契約の職員を雇用することそのものが困難であり、今後も有期労働契約での雇用は増えていくことが予想されます。
しかし、地域の特色やニーズを理解し、市民と協働しながら、文化を育み価値を創出していくためには長期的な視点と活動が必要であり、そこで働くマネジメント専門人材も知識と経験値の蓄積が必要です。「あの劇場、あの組織にはあの人がいる」ということ自体が重要であり、組織にとっての財産であると考えます。この財産であるはずの人材が5年でゼロリセットされるのは、組織にとっても、業界全体にとっても大きな損失ではないかと考えます。

*雇用する側のみなさま

2018年4月を迎えるにあたり、指定管理の制度上、無期限での雇用が難しい中で、これまで数年ごとに契約を更新し法的に継続雇用が認められるであろう人材の雇用はどうなるのでしょうか。

例えば、指定管理者としてある劇場の管理運営を受託しており、その指定管理期間が3年であるとします。この施設に3年間の有期契約で雇用されている人材が、指定管理期間が更に3年間延長されたので、新たに3年の有期契約を結ぶことになったとします。この更新時に、もしこの契約が終了する時点で次の指定管理を受託できない場合は、雇用関係は終了するということに合意したとします。
通算の有期契約期間は6年間となり、更新後の3年間の有期契約期間中で労働者側に無期雇用に転換できる権利が発生します。しかし、無期転換の申込みをしたものの、結果的に指定管理が受託できず、雇用側は契約に従って雇用終了(雇止め)にしたとします。この場合、この雇止めは他の施設への配置転換などの解雇回避努力が十分に行われたかなどの要件を満たさないと解雇は無効と判断される可能性もあります。

※「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法」が公布(平成27年4月1日から施行)され、高度な専門的知識等を有する有期雇用労働者に関しては、一定の期間については、無期転換申込権が発生しないこととする特例が設けられましたが、1年間当たりの賃金の額に換算した額が、1,075万円以上という年収要件があり、ほとんどの制作者は当てはまらないものと考えられます。

▼厳しい経済情勢下での労務管理のポイント(厚生労働省)
▼個別労働紛争解決システム(厚生労働省)
▼改正労働契約法の説明会
各都道府県の労働局では、改正労働契約法に関する説明会やセミナー等を実施しています。事前に正しく知識を身に付けることがトラブル回避のためにも重要です。 各都道府県労働局ホームページ

*働く側のみなさま

これから契約更新を向かえる有期労働契約の労働者が無期労働契約に転換することを避けるため、雇用側が契約を更新しない(雇止め)が起こることが危惧されます。雇止めの場合には、事案毎に具体的に検討する必要があり、まずは下記の窓口に相談することをお勧めします。

▼居住している都道府県の労働局
各都道府県労働局ホームページ
※たとえば、東京の場合は東京都産業労働局となり、雇止めに対しての専門窓口 を設けています。

また、Explatでは、実際に舞台芸術の現場において、マネジメント専門職であるみなさんに雇止めが起きているのかどうか、まずは現場の声を集めて可視化したいと思っています。「これまで何度か契約を更新し、今後も契約を更新していくものと期待を抱く理由があったにも関わらず、突然、契約更新は無いと雇用者に言われた」などということはありませんか?無期労働契約に転換することを避けるために契約更新をしない、というのは「雇止め法理」(労働契約法19条)により解雇と同じように扱われます。解雇には正当な理由が必要です。Explatにお寄せいただいた情報は決して外部には出さず、プライバシーポリシーにのっとって厳重に管理させていただきます。また公表するのは件数等、個人が特定されない情報のみです。

雇用・労働に関して「こういったことを知りたい!」などありましたら、ぜひ声をお寄せください。


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